こんにちは。ブランディング企画室です!
めっきり寒くなって年末がじわりじわりと近づいてきているのを感じます。
そんな中、今回も行ってきました。ブラ旅47。
★ブラ旅47とは…
大和グラビヤのブランディング企画室が日本全国47都道府県の旅に出る企画、
略して「ブラ旅47」!
全国各地の食べ物やお土産や工芸品・・・それらを作っている人たちとの出会いや、
その体験で感じたことや得たものを旅の記録として綴っています。
さて、今回私が旅したのは、砂丘で有名な・・・・鳥取県!!!
実は人生初の鳥取旅だったのですが、とっても楽しかったです。
なんとなくアクセスしにくいイメージがあったのですが、
名古屋空港(小牧)から出雲空港まで1時間、そのあと出雲空港からレンタカーで1時間も走れば鳥取に入りました。意外と行きやすい!
そして、鳥取旅の目的は、鳥取県の湯梨浜町にある、ちょっと変わった本屋さん。
その名も「汽水空港」。
本屋さんなのに空港?と名前から既に興味を惹かれます。
そのお店は国道沿いにあり、東郷池という大きな湖に臨む景色の良い場所です。
(夕方に訪問したので、暖かなオレンジ色の光が暗闇に映えます)
店内に足を踏み入れると、木と紙の匂いに包まれます。
ほっとするような落ち着く店内です。
所狭しと本が並べられています。古本も新書もあります。
本の陳列も個性的で見ているだけで面白いです。
ちょっとした小物も売っています。
旅行のおみやげにぴったりな「旅人ワッペン」。
1.モリテツヤさんとアキナさん
笑顔で出迎えてくれたのは、ご主人のモリテツヤさんと奥さんのアキナさん。
(あっHPの写真で見た人だ・・・!)と思いながらご挨拶をさせていただきました。
(とっても明るく気さくなお二人です。)
実はこのお店、もともとおもちゃ屋さんの倉庫だったのを、モリさん自ら建て直したそうです。
「20代前半のときに本屋をやろうと思ったんです。」と、この汽水空港のはじまりを話してくれました。
家賃の高くない地方で店を開こうと決めたそうですが、場所が鳥取だったのは実は偶然。
鳥取に来る前は、京都の鴨川で野宿していた時期もあったそうですが(!?)、
ご友人から鳥取に安い空き家があると聞いて、8年程前に移ってきたそうです。
「でもその空き家は駅からも遠く、一面田んぼで本屋をやるのには適していなかったんです。駅から近く、同年代の人たちが近所にいる場所がいいと思っていたら、ゲストハウスたみがオープンして、住人を募集していたので住み始めました。」とモリさん。
「たみ」というのは汽水空港近くにあるゲストハウスで、1泊から宿泊もできます。
(現在入居者募集中。いろんな人がいて面白い場所だそうです。)
こちらのたみのオーナーに、今のお店の場所を紹介してもらったそうです。
それからご自身でお店をつくって、手作りのお店をオープンしました。
奥さんのアキナさんとは鳥取に来てから出会ってご結婚されたそう。
お二人とも考え方が面白くって、お話しているとあっという間に時間が過ぎてしまいます。
お店に置く本の基準について聞くと、
「賞味期限があるような本は置かないですね。50年後の人が読んでもグッとくるような本が置けたらいいなと思っています。」
と教えてくれました。
また、去年の7月にリニューアルオープンをし、上の写真に写っている部分は増築した部分だそう。
お洒落なカフェのようでもあり、秘密基地のようなワクワク感もあります。
ちなみに、お店が建っている奥には、ギャラリーの小屋もあるんです。
少し見せていただきました。
実はここ、数年前までモリさんが住んでいた小屋なんです。(冬は寒く、夏は暑くて大変だったとか…)
3坪くらいの小さな建物で、モリさんが一から作ったものです。
今はギャラリーとして使っていて、最近まで絵描きの方が滞在制作していたとの事で、
壁中に絵が貼ってあって面白い空間でした。
2.汽水空港の由来
ちょっと変わった店名の由来も聞いてみました。
そもそも「汽水」とは海水と淡水とが混入している所の塩分の低い水のこと。
お店の目の前の湖も汽水湖です。
(お店から見える景色。大きな湖「東郷池」が夕方の空を映していました。釣りをする地元の方の姿も。)
「汽水」という言葉が持つ境界が曖昧な感じが良いと感じ、
さらに年齢性別国籍問わず、色々な人々が行きかうような場所をイメージして「汽水空港」と名付けたそうです。
「本を読むって旅ですしね。」と話すモリさん。
私は小学生の時にはやみねかおるの本にどっぷりハマって以来、本が好きになったんですが、現実では出来ない色々な体験と想像を本の中でしてきたなぁ…と思います。まさに旅ですね。
(お店のしおりもチケットのようなデザイン。汽水空港から色々なジャンルへの旅です。)
ちなみに、「汽水空港」に至るまでに「汽水書店」「汽水書房」「汽水レコード」「汽水ホームラン」など、色々考えたそうです。(笑)
3.汽水空港のちょっと変わったステキなところ
汽水空港では、本と一緒にカフェも楽しめます。
私が取材に訪れた際も、常連さんが何組かいらっしゃっていました。
(カフェメニュー 「モリコーラ」などのユーモラスなドリンクも。アルコールも楽しめます。)
また面白いのは、ここではライブや個展、トークイベントだけでなく、語学講座も開かれているんです。
私が訪れた日は、19時から英語講座がありました。その名も「汽水学港」。
『星の王子様』の英語版をみんなで読むという内容で、講師を務めるのは、近くに住む20歳の学生さん。
この汽水学校を始めたきっかけは、モリさんご夫婦自身が勉強したかったからだそうです。
「店を閉めた後に勉強できないし…近くにNOVAもないし…。ワンコインくらいでみんなが学べれば」と、場所代は取らないようにしているんだとか。
中国語講座や、韓国語講座の日もあるそう。
お、面白そう…!こんなにアットホームな雰囲気で気軽に学べるなんていいですよね。
また、汽水空港ではちょっと面白い本の売り方をしています。
その名も「サポンッシュ」。
(サポンッシュ・¥2,000+税)
サコッシュの中に汽水空港オススメの本がランダムに入っていて、中身は買ってからのお楽しみというもの。
こちらの外袋、なんとアキナさんが型から手作りしたオリジナル商品なんです。
ただ、モリさん曰く「ちょっと高いかもしれません。」との事。
もちろん理由があります。
「例えばトートバッグの型とかって、すごく安く手に入るんです。でもその裏では、安い賃金で働かされて、搾取されている発展途上国の労働者がいる。きちんとしたルートで、きちんとしたお金を払ったものであれば利用したいけれど、まだ見つけられていないので手作りで作っています」とモリさんは話してくれました。
昨今では「フェアトレード」と表記されている商品を目にする機会も増えてきましたが、買い手側が現状の問題を知っておくことが大切ですよね。
汽水空港では、空間やモノ一つひとつにモリさんご夫婦のこだわりがちりばめられています。
現在綿花も育てていて、ゆくゆくは生地から手作りしていきたいとのこと。
実は私も最後にサポンッシュを購入させていただきました!
(オフホワイトのサポンッシュ。手作りの風合いが素敵。HPからも購入できます。)
また、おもしろそうな今後の計画についてもお聞きしました。
モリさんご夫婦は食べるものも極力手作りにこだわっていて、
お店の近くの畑では毎朝アキナさんが作物を育てているそうですが、
この畑を「汽水空港ターミナル2」として、茶室を建てたりウッドデッキを作ったりして、
子供たちも思いきり走り回れるような、人が集まる場所にしていく楽しい計画をしているそうです。
汽水空港HPの航空日誌では、畑の様子が綴られています。
とっても楽しみです!
4.旅を終えて
仕事だということを忘れてしまうくらい、とっても楽しい時間でした。
こんな本屋さんが地元にあったら入り浸ってしまうと感じるくらい、居心地のよい場所です。
モリテツヤさんとアキナさん、素敵なご夫婦と出会えた旅でした。
今度はプライベートでゆっくり来てみたいなと思います。
(その頃には汽水空港ターミナル2が出来ているかも…!)
さて、ホテルに帰ってから、さっそく気になるサポンッシュの中身を空けてみました!
じゃ~ん!
『二人がここにいる不思議』レイ・ブラッドベリ著/伊藤典夫訳(新潮文庫・2000)
という短編集でした!!!短編集大好きなので嬉しい!
さっそく通勤時のお供にして、数日で読み終えてしまいました。
アメリカ文学は初めてでしたが、すごく面白かったです。
特に「十月の西」という短編がユーモアたっぷりでお気に入り。
きっと普通に買うとしたら出会わなかった本と、こうした形で出会えてすごくよかったです。
また、私はこの本を数日で読み終えてしまいましたが、例えば10年後にもう一度読み返すとき、きっと鳥取での旅のことや、汽水空港で出会ったお二人の事も一緒に思い出すんじゃないでしょうか。
改めて、旅先で本を選ぶって良いですね。
汽水空港は、年齢性別問わずいろんな「旅人」が集まる場所でした。
鳥取へ行く際には、絶対に立ち寄ってみてほしいです。
きっと素敵な本との出会いが待っています。
次回は鳥取県のお隣、島根県!!
伝統工芸の窯元を訪れました。ものづくりってワクワクします。
11/15(金)更新予定です♪お楽しみに♪
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